判例で見る商標失敗事例−取消審判【社会通念上同一】
登録商標と使用標章が異なると商標登録が取消に!?
- 登録商標と実際に使用している商標。
色や形は、全く同一ですか?
物やスペースによって、使い分けしていませんか?
長年、使用しているうちに微妙に変化していませんか?
実は、使用している商標が登録商標と社会通念上同一と認められなければ、
商標登録が取消になるかもしれません。
- 【事例5】
A社は、「NU−STEEL」の文字及び図形からなる商標の商標権者で、
B社は、「本件商標は,指定商品「鋼」について,継続して3年以上日本国内に
おいて商標権者,専用使用権者,通常使用権者のいずれにおいても使用されていない」
として、商標登録の取消しを求めて登録取消審判請求をしました。
- 登録商標(左)と使用している商標(使用標章)(右)

- 特許庁は、使用標章に「HOMES」の欧文字があることに着目し、
@構成に置いて相違する、A相違する観念が生じる,B「ニュースチールホームズ」の称呼を生じ,
「ニュースチールホームズ」の称呼を生じない本件商標とは称呼上も同一とはいえない。
として、使用標章と、登録商標は社会通念上同一ではないとして、
商標登録を取り消す旨の審決をしました。
- この特許庁の審決の取消を求め、A社は、審決取消訴訟を提起しました。
裁判所では、以下の通り社会通念上同一であると判断し、商標取消審決は取り消され、
商標登録は維持されることになりました。
「本件商標は,@全体外郭が家を暗示する形状に描かれていること,A中央部の
横長長方形に「欧文字及び図形」部分が白抜きで太く描かれている部分が,
窓ないし居住部分を暗示する形状に描かれていること,B「欧文字及び図形」
部分は,独創的な書体及び図形が用いられていること等の点で特徴があるが,
使用商標は,その特徴的な構成のすべてを用いていること,C「HOMES」の
文字を付加したとしても,本件商標の全体外郭が家を示す形状の商標であり,
また,被告の取り扱う商品が建築用材料であることに照らすならば,取引者,
需要者に与える印象が大きく変わるものとは解されないこと等,取引の実情等を
含めた諸般の事実を総合考慮するならば,使用商標は,本件商標と社会通念上同一の
商標と解するのが相当である。」
- つまり、裁判所では、全体外郭が家を暗示する点が判断に大きく影響したのです。
- A社は、商標のデザインを変更した時点で新たに商標出願を行うべきでした。
今回は、社会通念上同一と判断されましたが、もし、全体外郭が家を暗示すると評価されなければ、
登録を取り消されたかもしれません。
- このような事にならないためにも、実際に使用している商標の出願を、強くおすすめします。
→商標調査や出願のご依頼はこちら
- (参考)平成21年(行ケ)第10171号 審決取消請求事件
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